· 

ミクロ団粒とマクロ団粒

前回は、土壌粒子の大きさは、礫→粘土粒子の大きさで小さくなり

粘土粒子と有機部が結びつき、有機・無機複合体(腐植・粘土複合体)を構成し

それらが集まってミクロ団粒となり、さらにマクロ団粒となっていくとありました。

では、ミクロ団粒とマクロ団粒の違いを見てみましょう。

 

団粒は、微小なミクロ団粒(250µm以下)と粗大なマクロ団粒(250µm以上)の2つに分類出来ます。

 

 ミクロ団粒は、粘土粒子、細菌細胞、腐植、植物破片が、多糖類の粘物質や水和酸化物によって結合されて出来ています。粘土粒子と腐植が結合した『有機・無機複合体(腐植・粘土複合体)』や細菌細胞を基本単位とし、これらと植物破片とが、微生物(細菌)がつくり出す『粘物質(細胞外多糖EPS)』によって結合されている状態のことです。その後、糸状菌菌糸や植物破片も一体となって、より大きなミクロ団粒が形成されていきます。

 

 マクロ団粒は、多くのミクロ団粒植物破片が以下のものと絡まりあい出来ています。

ミクロ団粒と絡み合い形成されている物質

・腐朽植物遺体 ・死んだ根の断片 ・植物根 ・根毛

・糸状菌菌糸 ・砂粒子

特に、糸状菌菌糸が増殖して菌糸を伸ばしてネットワークを結ぶ「ネバネバした網袋」がミクロ団粒を絡め合わせている。

 

団粒の結合の安定さ

結合物質による違いにより結合持続期間は3タイプに分かれる

数週間… 微生物により急速に分解される有機物の場合(短期的結合物質)

数か月ないし数年間… 植物根と糸状菌菌糸 (中期的結合物質)

難分解性により長期間安定… 腐植と多価金属陽イオンとの複合体(長期的結合物質)

 

ミクロ団粒

安定している耕起などの農作業や降雨など破壊されない

結合物質である微生物の粘物質(細胞外多糖EPS)は微生物に分解されやすい短期的結合物質であるが、多価金属陽イオンと強く結合し長期的結合物質となっている。また、細菌細胞の周りはEPSで囲われていて、粘土鉱物が周囲を囲み結合しているため、細菌細胞が死滅しても、粘土鉱物に囲われているため微生物分解を受けないので、長期的に安定した物質になっていく。

 

マクロ団粒

崩れやすい。が、新たに生成もされやすい。その違いは団粒を結合している物質の違いである。微生物が有機物を分解する過程で生成する菌糸や粘物質によってマクロ団粒は結びついているため、有機物の有無や分解状況によって、マクロ団粒は影響を受け、生成と分解を繰り返す。尚、結合物質である糸状菌菌糸や植物根は中期的結合物資である。マクロ団粒が分解され崩壊すると、内部のミクロ団粒は放出されるが、新たに再合成されマクロ団粒を形成する要因となる。

 

 まとめると

・腐植と粘土粒子が結びついた有機無機複合体や植物破片が、細菌の出す粘物質(EPS)によって結びつき、ミクロ団粒という小さな団粒を形成する

・ミクロ団粒が多数集まり、植物破片などと糸状菌菌糸によって絡み合いマクロ団粒を形成する

・ミクロ団粒は安定していて、マクロ団粒は壊れやすく、分解されやすい

 

土壌に有機物が混ざると、上記の様な2つの団粒を形成します。ではその2つの団粒の効果は何があるのでしょうか?

それはまた次回に説明します!