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碧南市の農家さんと川砂について土談義

碧南市の生産者である農家さんのところへ視察に行ってきました。視察というより土談義に近いものでした。

弊社の黒土を使っていただいている農家さんなのですが、その使い方から、土の堆積、保管、ぼかし、発酵の具合を説明していただきました。今よりも軽くしたいとの要望や、もっと土を肥沃にしたい、いい土にしたいとのことなので、弊社で出来ることは何かないかと、その提案をさせていただきました。黒土をそのまま使うのでなく、土壌改良の資材や、バーク堆肥や牛糞堆肥等をあらかじめ混ぜ込むことでもっと扱いやすい土として使っていただけたらなあと思います。

 また、長年碧南市の矢作川の河口で農業を営まれているので、昔からの歴史や土地の出来方など歴史的はお話しもお聞きでき大変有意義な時間になりました。

 碧南市には、矢作川が通っていて、矢作川の上流から運ばれてきた土砂が、運搬され、堤防のなかった時代に河口にあふれ出し、自然に堆積した状態が碧南市の農業地帯です。粘土分は途中で沈み、土壌中の岩石がそのまま川の中を流れ、角が丸くなりきれいな川砂となって堆積しているのが碧南市の特徴です。

 この碧南市の川砂では、にんじんの栽培が盛んですね。

 川砂の本来の特徴は、通気性は良いが、水持ちは非常に乏しく、有機物を投入してもすぐに分解され、なかなか腐植が生成しにくい土壌の特徴があります。現地で土壌を見ればすぐにわかりますが、あたり一面真っ白です。農業産地としては、すくし意外なほど真っ白です。

 しかし、先ほど述べた様に、碧南市の川砂はにんじんの産地として有名です。

 その理由は、水持ちのデメリットを補うために、スプリンクラーの灌漑設備やその散水技術が昔から工夫され世代間で継承されていることにあります。同様に腐植の生成しにくい土壌なので、肥料の施肥のタイミングや養分の与え方も同様に受け継がれ発展してきたとされています。また、緑肥などの鋤き込みも行われているようです。さらに、川砂には川のなかで蓄えた養分であるミネラル分が豊富に含まれていて、岩石自体にも鉱物の養分が含まれているのも大切なことです。生産者の方も、同じ矢作川流域の土壌でも、豊田市や安城市、岡崎市などとは川砂の成分が全然違うと仰っていました。安城などは土砂がかなり含まれていて純粋なきれいな真っ白の川砂が採れることはあまりないようです。やはりその土地土地で生産の仕方も変わってくるのですね。その土地にあった栽培方法が伝統的に受け継がれているようです。

 土は、山から川を通って海に向かって流れてきたもので、やはり奥が深くおもしろいものですね。その土地土地の歴史や成り立ちを秘めているようです。(肝心の碧南市の川砂の写真を撮って来るのを忘れました。)