土壌の3相分布という言葉を聞いたことはありますか?
土壌の水と空気の割合を表したもので、それぞれ固相率:液相率:気相率を表します。前回お伝えした通り、土壌には、毛管孔隙と非毛管孔隙がありまして、非毛管孔隙は重力水という24時間で大方排出される孔隙の隙間に溜まった水分を表します。この重力水と毛管孔隙の隙間(ミクロ団粒内部の隙間)の水分と空気の関係を確かめるのに、3相分布は役に立ちます。
水が多い状態では、空気があまり存在しないので、植物は根から空気を呼吸出来ずに窒息状態に陥ってしまい根腐れしてしまいますね。
逆に、水がほとんどなく空気ばっかりであれば、水分をあまり吸収出来ずに、乾燥すればすぐに枯れてしまう状態にあります。
固相率:=土壌の孔隙、固体粒子の割合
液相率:=土壌中の水分の割合
気相率:=土壌中の空気の割合
を表します。
では、測り方ですが、実験室で測るのでなく、簡易的に誰でも簡単に現場で測れるやり方があります。土壌の状態の大筋がつかめれば良いのでこの簡易法で十分です。
【まず、用意するもの】
① フライパン、アルミホイル、コンロ、混ぜるもの(割りばしとか!?)
② 採土管
(要は土が100ml採取出来ればいいので、缶コーヒーの缶に水100ml入れその容積100mlで切って100ml測れるものを作ればいいだけ。私は缶コーヒーの缶とヨーグルトの容器で代用しました...)
③ キッチンスケール
これくらいかな!? わずかにこんだけ!!
誰でも家庭にあるもので出来ますね!
【次に、土の採取】
重力水、何度も出てきますね。24時間で排水される水分ですよね。なので、一般的な目安として降雨後24時間程度を目安に圃場の土を採取することをお勧めします。
まず表層は乾きやすいので、表層を少しめくった部分から下の土を100ml採取します。この時、隙間なくぴったり押し付ける様に採取してください。もし粘土層でカチカチならハンマーで叩くくらいしないと、採取出来ないかもしれません。山砂なら割と簡単かな!?
【次は水分の計測と乾燥】
採取した土100mlをキッチンスケールなどで測定します。この時容器の空袋(カラでの重さ)を先に測っておけば、採取した土を容器ごと測っても、空袋を引き算すればいいだけなので分かりますね。
その後、採取した土をアルミホイルを敷いたフライパンの上に乗せ、弱火で15分~20分くらい熱して水分を飛ばします。
この時、注意しないといけないのが
- 有機物を炭化させないこと。火が強いと堆肥などの有機物が焦げてしまい重さが変わってしまうので、火を強くし過ぎないこと。パンパン!!音が鳴っていたら、それ、危険ですよ~
- 弱火で15~20分くらいの火力で。炭化しない様にと慎重にとろ火でやっていると全然乾燥しませんからね。1時間くらいかかります(笑)
そうです。私は最初、ビビッて超とろ火で全然乾いていきませんでした。
コンロの前で1時間...何やってんだろ...状態でした(笑)
火力として全開の1/4~1/3くらいの炎の大きさでしょうか。何回かやっていくとだいたい20分くらいの強さがわかると思いますけどね。
【その後、乾物を計測】
20分程で土が十分乾燥したなと思ったら、乾燥した土の重量を測る。アルミホイルは大体1gくらいです。あと、当然ですが、熱々なので少し冷ましてからの方がいいですよ~
以上で測定の作業は終了です。
〈最初測った採取した土〉-〈乾燥した土〉の重量=水分量=液相率です
なぜなら全容量が100mlなので、重さ=割合%です
〈乾燥した土〉÷2.65←土の真比重=固相率です
最後に、
100-〈液相率〉-〈固相率〉=〈気相率〉 です
この数値の割合が
3:4:3となるのが、理想的な割合と言われています。
では、測定の結果は次回にしましょう!
コメントをお書きください