良くミミズがいると、土が肥沃になるとか、
ミミズがいるからいい土だとか、
いやいや、ミミズがいる土はまだまだ生成途中の土だとか、いろいろ言われますね。
今回は、ミミズと土の関係から、改めてミミズが土壌に及ぼす好影響を確認していきましょう。
ミミズと言えば、ダーウィンです。
ダーウィンと言えば、「種の起源」の進化論で有名ですが、ダーウィンにはもう一つの功績があります。
そうです、ダーウィンはミミズ研究者として40年以上研究に関わってきた実績があります。
ダーウィンが発見した最も大きな功績は、ミミズが土壌を耕す、その量を調べ上げたことにあります。
ミミズが食べて排出した土を糞塊といい、その量は毎年0.22インチ(約5.6mm)の土壌の厚みになると考えました。
日本では、草地におけるミミズの糞塊の地表への排出量は、1年間に1ヘクタール当たり38tとなり、均すと3.1mmになるという研究がなされました。
年間で3.1mmというと、僅かな値かもしれませんが、土壌表層は数㎝~数10㎝であることが多いので、ミミズだけで3.1mmというと、その量は決して少なくないのではないかと思えます。
ミミズは、植物遺体のような有機物を土壌粒子ごと食べ、その混合物はミミズの体内で腸管を通って、最後には糞塊として排出されます。この様に、ミミズの体内を通った有機物と土壌からなる糞塊は、それ自体が耐水性のマクロ団粒となっており、普通の土壌団粒よりも安定性が強く壊れにくいとされています。
しかし、ミミズの糞塊として排出させるマクロ団粒は分解されにくく、安定しているとされています。
また、マクロ団粒は植物根や糸状菌などによる結合物質により接着されているのですが、ミミズは腸内でこれらの代わりとなる結合物質である粘物質を分泌することが出来ます。
さらに、摂取した有機物を腸内で細かく粉砕することで、この細かな有機物を分解しようと、微生物が増殖し、微生物が分泌する粘物質もマクロ団粒を結合させ安定させます。
これら、複数の事象が、ミミズが生成するマクロ団粒がより安定している理由です。
また、温帯の草地では、表層の土壌団粒の50%がミミズの糞塊であると推定されていることもあります。それくらい自然の土壌団粒の形成に影響を及ぼしています。
しかも、ミミズは石灰腺をもっていて、炭酸カルシウムを分泌しています。
ということは、土壌のpHを安定させる役割も持っています。
土づくりにおいて、最初に石灰分(消石灰や生石灰、炭酸カルシウムや炭酸苦土カルシウム)を施し、土壌pHを弱酸性に中和させていますよね。私たちの日本では、年間降水量が大変高く、その酸性雨は土壌をどんどん酸性側に傾けてしまいます。育てる植物によって、好適なpHは違ってきますが、大方の植物は、pH6.0~6.5付近の弱酸性で最適な成長をします。なので、酸性に傾いてしまった土壌を弱酸性に中和してあげるのに通常、石灰を施しますね。この石灰に用いられる炭酸カルシウムをミミズは分泌しているので、ミミズが排出した糞塊はそれだけで土壌改良せずに良い最適な土壌となっているのです。
まとめると
- ミミズは有機物を土壌ごと食べ、糞塊として排出している
- 排出された糞塊は、マクロ団粒として、非常に安定している(壊れにくい)
- 排出された糞塊は、pH矯正もされていて非常に肥沃な土壌である
以上のことから、ミミズがいる土がなぜいい土なのかわかりますね。
ミミズがいると、畑を耕すだけでなく、安定した土壌の供給とpH矯正もしているなんて驚きですね。
これからは、畑や土壌改良において、ミミズを確認することが出来たなら、よく確認してみると面白いですね。
次回は、ミミズとマクロ団粒でなく、ミクロ団粒との関係も見ていきます。
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ぶうげん (木曜日, 09 4月 2020 18:25)
マイ畑に、石灰を混ぜようか、ミミズを放そうか、と迷っていたので大変に勉強になりました。ありがとうございました。
豊田グリーンソイル (火曜日, 14 4月 2020 21:47)
>ふうげんさん
ミミズには土壌改良をする効果がありますが、その効果は表層わずか数ミリとかなり時間がかかるので、現実的には石灰を施した方が手っ取り早いと思います。ミミズは補助的な効果として期待した方がいいかもしれません。未耕地ならいいのでしょうけど...
だちい (水曜日, 19 7月 2023)
私はミミズがいる環境がミミズの尿によって塩基性になってしまうと考えて卵の殻を酸性だと思い入れていたのですが、ミミズがいる環境というのは尿を垂れ流していても土壌中は酸性になるのでしょうか?