粘土の対策
本日、ふと移動中に目にとまった光景
粘土地盤の排水対策の一つとして
周りに溝をきって、側溝を作って対策しているところ
の写真です。
写真の田んぼは、恐らく水田転作大豆の田んぼですね。
田んぼには、すき床や耕盤層といって水が溜まる様に数
10cm下に水を閉じ込め、下層に浸透させない粘土の膜みたいな層があります。
田んぼとしては、水を溜めておけるので、効率がいいのですが、その田んぼを転作ダイズの栽培をしようとした時に
水が抜けない様では、水はけが問題になりますね。
また、大型機械が通ると、その機械の重みで土が転圧され、自然と硬盤層の様な、圧密層が出来上がることも水の透水を妨げる原因になります。
それら、硬盤層は、まだ機械で壊せば、水が浸透していくのでなんとかなりますが
問題はその下層がどうなっているかです。
硬盤層以下の下層が、水が抜け、排水が行われるかです。
通常、田んぼでイネの成育では、イネは水中にどっぷり浸かっていても、成長することが出来ます。
あれ?根が水浸しだと、根腐れを起こしたりして窒息してしまうんじゃないの?
と思った方も多いと思います。通常、プランター栽培等では大変水はけは気にされますものね。
通常、根が水浸しの間が長く続くと、酸素が不足し酸素欠乏になってしまいます。
そうなると、二価鉄イオンや硫化水素といった毒性の物資が発生し、根にダメージを与えてしまいます。
でも、イネは大丈夫なんです。
イネは、根から呼吸出来なくても、葉や茎から酸素を根まで送ることが出来ます。また、根に送られた酸素は、根から分泌され
上記の様な有害物資である二価鉄イオンや硫化水素といった毒物を酸化させ無害化させる能力も持っています。
なので、イネは水の中でも、健全に成長することが出来ます。
話を下層土に戻しますね。
イネでは、水はけの問題はそれほど気にしなくて良いので
(厳密には、イネでも下層の水はけが良い方が生育に影響することもありますが、またの機会に触れることにします)
水がたまる圃場=田んぼで問題なかったのに
それを、減反の目的で、ダイズを栽培させようとすると問題が起きます。
ダイズは、適切に水はけが行われないと、当然、健全に生育することが出来なけです。
もともと、水はけがよく硬盤層以下の下層が、排水に恵まれているところなら問題ないのですが、
大体の田んぼでは、そこが水はけがわるく、水がたまりやすいから田んぼになっているところが多いのです。
当たり前でしょう。
水はけが良かったら、そこは畑にしますって!!!
ですので、大方の田んぼでは、水はけがわるいところでダイズを転作栽培しようと試みます。
けれど、うまくいかない...
水がうまく排水されない...
そこで、絞り出された知恵が、
四隅の溝を掘って排水を促す
という、対策だったんですね。
実際、稲作を営農されている方に聞いたのですが
周りを溝堀するだけで、全然水はけが変わってくる
と、おっしゃっていました。
特に、私の会社があります愛知県は
粘土の産地で有名なくらい粘土地帯なので
大方の田んぼでこの溝堀がされています。
粘土の対策は、非常に困難ですね。
他にも、考えられる対策として
排水のわるいところに縦穴を施す
川砂の投入
堆肥の投入
高畝にする
など、考えられます。
なんせ一長一短に出来ず、気長に改良するしかありませんね。
今回は、粘土の排水対策として
「四隅に溝堀をする」
という対策を、同じ田んぼでも、イネとダイズの特性から
見てみました。
粘土の土壌改良でまだやられてない方は試してみてくださいね。
少しばかり手間はかかりますけども。
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