以前の内容で、ミミズは畑の中で、pHも改良してくれる!?マクロ団粒を提供するミミズとの関係
で述べた通り
ミミズは有機物を土ごと食べ、その体の中の腸を通って、粘物質を分泌させ、一般的なマクロ団粒よりも、もっと安定した状態のマクロ団粒を糞塊として排出しています。ゆえに、ミミズがいる土は肥沃な土になっています。またその土はpH矯正もされているという内容でしたね。
では、今回はミミズとマクロ団粒よりもっと小さいミクロ団粒との関わりについて見ていきましょう。
ミミズはマクロ団粒だけでなく、ミクロ団粒の形成にも大きく関わっています。
ミミズは有機物を口から摂取し、腸内での蠕動運動によって、有機物を粉砕しすり潰しているのですが、この時に、それまで存在していた土壌の微細構造を完全に破壊します。
微細構造を完全に破壊するということは、有機物と結合していた粘土鉱物も破壊され、分解されるが、新たに粘土粒子と有機物が混ぜ合わされ、ミミズから分泌させる粘液で覆わると、これを核として微細な粒子が接着されて新たなミクロ団粒の形成が行われます。
形成されたミクロ団粒は、糞塊内部、すなわちマクロ団粒の内部に存在しています。糞塊が乾燥すると、有機物、粘物質、無機物の間の結合が強化され、新たに形成されたミクロ団粒の安定性が高まるとされています。
要するに、ミミズによって口から採取された土は、細かく粉砕されミクロ団粒が形成され、またマクロ団粒も形成されていきます。つまり肥沃な土壌である団粒構造の発達したふかふかで、やわらかく、黒く、完成された土壌として、糞として排出させるということです。
また、前にも説明した通り。マクロ団粒内でのミクロ団粒の形成はミミズが存在しなくても微生物の活動によって起きます。しかし、団粒内の細かな有機物の量は、ミミズの活動なしで生成したマクロ団粒内のミクロ団粒に比べて、ミミズ由来のマクロ団粒内のミクロ団粒に存在する方が遥かに多いとされています。
この事より、通常の微生物の活動による土壌の生成よりもミミズが耕してくれた土壌の方が肥沃な土壌だと言えます。
また、ミミズによって形成されるマクロ団粒、ミクロ団粒は、畑地より草地に多いとされています。このことも前回、草地などの草原の方が土壌団粒が発達しやすいといった理由の一つでもあります。
まとめると
- ミミズはミクロ団粒もマクロ団粒も両方作り出し肥沃な土壌を作り出す
- ミミズの作りだす団粒は、微生物活動によって通常形成される団粒よりも遥かに安定した有機物の多い肥沃な土壌を作り出す
- ミミズの作り出す団粒は、畑地よりも草地の方が発達しやすい
よく、ミミズのいる土壌はまだ発達途中の未熟な土壌であると言われることがあります。
確かに未熟な有機物が多いとミミズの棲息数が多く、大きな肥えたミミズが確認出来ます。
また、土壌が腐熟してくるとミミズの生息数は減少してくるとも言われます。
しかし、肥沃な土壌として、団粒が蓄積されていく草地での方が、ミミズの効果は高いといえるのであれば、ミミズがいるから未熟な土壌だと、そこまで毛嫌いする必要もないのではないでしょうか。
ミミズは下層の未熟な部分の土を食べ、表層に良質な土壌団粒の塊を運び耕してくれるのであるならば、土壌が腐熟しても継続的に土壌を豊かにしてくれる頼もしい存在ではないでしょうか?
というのは、微生物が作りだす土壌団粒よりも、ミミズが作り出す土壌団粒の方が遥かに安定しているのならば、ミミズが作り出す土づくりを積極的に活用していくのが有効ではないでしょうか?
特に、砂地では、有機物を施しても、微生物による分解が早く腐植が堆積しにくいので粗大や未熟な有機物を施し、ミミズによる土壌改良の手助けを借りるのもいいかもしれません。
ミミズを増やすためにも、豊田グリーンソイルでは土づくりや土壌改良を応援します!
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コメントをお書きください
ETJApan 山下操 (水曜日, 19 10月 2022 01:09)
みみずの団粒化した土は栄養がありますか?
ETJApan 山下操 (水曜日, 19 10月 2022 01:19)
みみずは団粒化するけど土壌の栄養素とは別物ですよね
団粒化した土壌は酸素と水の関係で植物の栄養の吸収が良い事ですね。
水野 (月曜日, 05 2月 2024 21:35)
こちらの記事はとても勉強になりました。
微生物もとても大切ですが、さらにそこにミミズも加わることで
最強のタッグが完成するということですね。
さらにミミズのフン(団粒化した土)は窒素・リン酸・カリはもちろんカルシウムや炭素・アミノ酸・酵素ととんでもなくたくさんの栄養素も含まれてますよね。
微生物のコンポストよりも、ミミズコンポストをこれから推していこうと思います!