前回は、腐植の分類と腐植の簡単な説明をしましたね。
では、今回は腐植の出来る成り立ちについて触れていこうと思います。
植物の遺体(茎葉や根や堆肥など)の様な有機物は、土壌に入るとすぐに微生物などによって分解されるのでしたね。分解するのは、糸状菌や細菌である土壌微生物だけでなく、ミミズの様な土壌動物も有機物を分解します。ミミズは、有機物を体内で土壌団粒に変え、糞として排出するのでしたね。ですので、ミミズの糞には、当然腐植が含まれます。しかし、一般的には、大きな土壌動物は、有機物の粉砕、つまり細かくするのが主な仕事です。実際に有機物を分解するのは、微生物がその役目の大半を担当しています。微生物は、複雑な有機物を二酸化炭素や水やアンモニアなどの単純な物質に分解してそれらを利用しています。
●土壌に入った有機物
土壌動物→粉砕
微生物 →分解
では、その微生物が分解する有機物の主な構成成分と、その順番は以下に表されます。
① タンパク質 → 最初に分解される
ペプチド
糖類
② セルロース → 次に分解される
ヘミセルロース
③ リグニン → 分解されにくい
リグニン以外の成分は分解されて
→多糖類、有機酸、アミノ酸、ペプチドなどの微生物代謝産物
(=微生物が有機物を分解し粘物質などで新たに再合成される物質)へと変化します。
リグニンは、非常に分解されにくい物質です。
→環状構造をもったポリフェノールやキノン類として土壌中に存在します。
上の様に、①と②の微生物代謝産物と③リグニンによる非常に分解しにくい物質が反応し、これまた非常に分解されにくい難分解性の暗色有機化合物=つまり腐植が生成されます。
簡単に言うと
分解されやすい成分①②+分解されにくい成分③→反応→腐植
ということになるのかな。かなり強引ですが、、、
(しかし、まだその複雑な化学的構造ははっきり分かっていないのが現状です。)
ここで、リグニンが出てきましたが、リグニンは馴染みの深いというか聞いたことのある言葉ではないでしょうか?
リグニンとは、バーク堆肥に含まれる成分で主に木の枝や樹皮などの固い部分のところに含まれる成分です。
このリグニンのおかげで、バーク堆肥を土壌に鋤き込んでも、すぐには分解されずゆっくり土壌に分解されるので、バーク堆肥は土壌改良効果が長く続くとされています。また長期的に腐植の生成に役立つのと共に、リグニンの難分解性の物資であることから、土壌中の孔隙となり隙間を作り、空気や水の通り道を作ってくれるのです。すなわち、通気性や水はけを改善してくれるということですね。そして、バーク堆肥は肥料持ちにも優れているので、水持ち、水はけ、通気性だけでなく肥料持ちも改善してくれます。バーク堆肥はオールマイティに改良してくれますが、早く土壌改良しようと焦って、たくさん入れ過ぎてしますと、今度は乾燥しやすくなってしまうので、投入量は注意が必要です。
あと、バーク堆肥には、リグニンだけでなく、当然分解されやすい腐植の元になる有機物や、堆肥化の過程で既に良質の腐植になっている成分があるので、分解されにくいリグニンばかりだと勘違いしないでくださいね。
長くなったので、次回に続き、まとめたいと思います。
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